佐藤忠信の妻「楓」人形
本堂
当寺は、山号を瑠璃光山といい薬師如来の別称「医王」を寺号とし、平安時代の天長三年(826)に開基されました。本堂本尊は大日如来、薬師堂本尊は、弘法大師御作の薬師如来をおまつりし、古くより鯖野薬師と呼ばれ親しまれております。また奥州藤原氏の一門であり飯坂をおさめていた佐藤一族の菩提寺で奥州三十三観音特別霊場にもなっております。
元禄二年(1689 )五月『奥の細道』の途中、医王寺を訪れた松尾芭蕉は、佐藤兄弟を偲び「笈も太刀もさつきに飾れ紙のぼり」と詠んでおり、その句碑が境内にございます。
奥州藤原氏の一門であり信夫の地をおさめていた佐藤基治公の息子継信、忠信兄弟は源義経に付き従いました。のちの戦いで継信、忠信兄弟は義経の身代わりとなり壮絶な最後を遂げます。二人の息子を失い悲しみにくれる老母乙和の姿を見ていた継信の妻「若桜」と忠信の妻「楓」は、乙和の悲しみを慰めようと夫の武者姿に扮したという悲しくも美しいお話が残っております。その優しくて気丈な二人の人形が本堂にまつられております。
佐藤継信の妻「若桜」の人形
境内について
山門は、江戸時代後期に建立され、もとは木端葺き(こっぱぶき)でした。また山門のすぐ脇にそびえ立つ「医王寺のシラカシ」は市指定天然記念物で、寛永年間の医王寺再興時の植栽として、樹齢300年と推定されています。カシ類の代表種です。
福島県福島市飯坂町平野字寺前45
TEL(024)542-3797